新聞社 (河内 孝)
新聞社 破綻したビジネスモデル
元毎日新聞常務取締役からの新聞業界への提言。
- 作者: 河内孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 新書
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本書を読んでいると、「ああ確かに変だ・・・」「なるほどそういう事か」と関心する点が多いです。
普段何気なく読んでいる新聞の生い立ちや業界の仕組みなど、今まで知らなかった事も書かれているし、改革を余儀なくされているメディアの中で、変われない・これまでは変わらなくても良かった新聞産業というものの特殊性などが良く分かる一冊です。
読み進めるにつれて、現在日経新聞を定期購読している私にその新聞を通じて入ってこず、"知らなかった"ままの状況だったのかもわかる。
著者が指摘しているのは、読者のための新聞ではなく、業界のための・メディア覇権争いのための新聞業界になっているということです。
産業構造として特筆すべきは"押し紙"や"補助金"などの部数至上主義というもので、発行部数に比べて販売部数は1割程度も少ない。配達先の無い新聞が全体の1割も存在し、それが印刷され・販売店に流通され、そして破棄されるということです。印刷などに掛かる原価・流通経費・破棄の為の経費を差し引いても部数の増加・維持をすることによる広告費で収益をとる。という、旧態依然とした業態の体質がまかり通っているのです。
Web2.0の流れで新聞への広告費が現象傾向にあること、人口減少によって新聞を読む読者の絶対量が今後減っていくことを考えれば、経営体質の改革が求められます。
私が一番気になったのは、読まれる予定の無い新聞の為に樹木が伐採されるということ。公共性がある業界としてそのような産業構造であれば必ずメディア批判というものにさらされなければならないのに、新聞業界には誰も触れようとしない。そこにはTV・ラジオ局と新聞社の複雑な資本関係や権利関係があるようです。
つづく